無料ブログはココログ

« ■□□「眼球」 | Main | ■■□「ヨーグルト」 »

2004.01.17

■□■「卵」

 目覚ましが鳴った。
 私は乱暴にアラームを止めると、よろよろと身を起こした。
 朝は苦手だ。でも、日課だから仕方がない。
 私は寝室から出ると、家の中にある産卵場へ向かった。
 産卵場にしゃがみ込み、ひとしきり息む。
「む〜ん」
 ボトリ
 鈍い音とともに、卵が床に落ちた。
「ふぅ〜」
 私は爽快な気持ちになる。
 卵は夏蜜柑ほどの大きさだ。私はそれを玄関の横にある郵便受けの中に入れた。そのうち、卵屋が回収に来るのだ。
 私はバタバタと出勤の支度をし、家を出た。

 その晩、私が仕事から戻ると、一通の手紙が届いていた。
 赤い色をした封書だった。
 私はその手紙が何であるのかを知っていた。
 予感がしていたのだ。
「あなたを食肉として徴用します」
 手紙にはそう書かれていた。
 とうとうこの時が来たか。
 そう、私は食べられることになったのだ。
 しかし、私は取り乱したりはしない。
 逆にホッとしているのだ。
 だって、もうこれで、卵を産まなくて済むのだから。

« ■□□「眼球」 | Main | ■■□「ヨーグルト」 »

Comments

Post a comment

(Not displayed with comment.)

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/9810/109496

Listed below are links to weblogs that reference ■□■「卵」:

« ■□□「眼球」 | Main | ■■□「ヨーグルト」 »